叢生の矯正治療
叢生とは
叢生とは、1本1本の歯が別々の方向を向いており、まるで叢(くさむら)のような状態になっている歯並びを指します。一般的には「乱ぐい歯」とも呼ばれ、上の犬歯が外側に飛び出している八重歯も叢生に含まれます。反対咬合や不正咬合と併発して見られることも多い歯並びです。
叢生からくる症状
叢生では、次に挙げるような症状が認められます。
歯並びがガタガタに見える
叢生では、口元の審美性が低下します。歯並びがガタガタ・デコボコになっているので、見た目があまり良くありません。
歯磨きしにくい
歯並びがガタガタだと、一方向から歯ブラシを当ててゴシゴシと磨いても、必ず汚れが残ります。とくに歯並びが入り組んだ部分に磨き残しが多く、虫歯・歯周病のリスクが上昇します。
口臭が発生しやすい
口臭の主な原因は、口腔内の汚れにあります。歯面に堆積したプラーク・歯石など温床として細菌が繁殖し、ニオイの元となる物質を作り出すからです。正常な歯並びよりも汚れがたまりやすい叢生では、口臭も発生しやすくなっています。
食べ物をそしゃくしにくい
叢生では、咬み合わせの異常も現れやすいです。正常な歯列では上下の歯が適切な位置で咬み合うことで、食べ物を効率良くそしゃくできるのですが、叢生ではそれが難しくなります。
別々の方向を向いた歯はそれぞれ不適切な部分で咬み合っていることから、そしゃくが不十分な状態で食べ物を飲み込むことになります。あるいは、必要以上の力で噛まなければならなくなるのです。
八重歯は治療すべき?
日本では、八重歯をチャームポイントと捉える見方があります。つけ爪のような形で八重歯を装着するサービスがあるくらいですから「そもそも治療は必要ないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
けれども、それは医学的な観点からは正しいとはいえません。八重歯を医学的に見た場合「犬歯の低位唇側転位」という診断がつくからです。一般的な叢生と同様、基本的にはデメリットしかありませんので治療した方が良いといえます。
叢生の原因
叢生の原因は、大きく2つに分けられます。
顎の骨が小さい
顎の骨が小さいと、28本の永久歯を並べるためのスペースが不足します。その結果、外側にはみ出す歯が出てきてガタガタの歯並びが形成されます。
歯が大きい・歯の本数が多い
顎の骨が標準的なサイズでも、歯が大きかったり、歯の本数が多かったりすると、叢生を招きます。歯の本数が多いのは「過剰歯」のケースです。日本人は比較的顎の小さな人が多いので、叢生になりやすいと言われています。
オススメの矯正治療
叢生の治療方法は、小児期と成人期で異なります。
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【小児期】
小児期は、まだ顎の発育が途上にあることから、矯正によってその幅を広げたり、長くしたりすることが可能です。スペース不足の根本的な原因を改善できるので、将来的に抜歯が不要となります。歯並びもきれいに整えやすくなります。
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【成人期】
成人期の叢生の治療方法は、歯列矯正が一般的です。不足したスペースを作るために便宜抜歯(べんぎばっし)を行った上で、マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置を使用します。抜歯は、審美性や機能性の低下を最小限に抑えられる小臼歯(しょうきゅうし)が対象となりやすいです。歯の移動にかかる期間は1~3年程度です。
叢生は自力で治る?
叢生は、“乱ぐい歯”と呼ばれるだけあって、とても複雑な歯列弓を形成しています。これを自力で治すことは絶対に不可能です。抜歯によって十分なスペースを作り、綿密な治療計画を立案した上で、精密な矯正処置を施すことで初めて改善されるものです。時間の経過とともに自然に治ることもありませんのでご注意ください。
叢生が治ると
矯正によって叢生が治ると、次に挙げるようなメリットが得られます。
歯並びが美しくなる
叢生は、治療後の見た目が最も大きく変わる歯並びのひとつといえます。ガタガタだった歯並びがきれいに整うことで、口元の見た目が美しくなります。それだけも大きな満足感を得る患者さまは少なくありません。歯並びに関する長年のコンプレックスも解消されることでしょう。
歯磨きしやすくなる
叢生が治ると、清掃性も大きく向上します。これまで歯ブラシをいろいろな角度から挿入してブラッシングしなければならなかったのが、一方向からゴシゴシと磨いても効率良く汚れを落とせるようになります。同時に、プラーク・歯石の堆積が減り、虫歯・歯周病のリスクが低下します。
口臭が気にならなくなる
正常な歯並びでは、プラークフリーな状態を作るのも容易です。細菌の温床となるプラーク・歯石がたまらず、ニオイの元となる物質もあまり作られなくなります。
そしゃく能率が上がって胃腸への負担が減る
矯正治療によって叢生が改善され、咬み合わせも正常化されると、食べ物を効率良く噛めるようになります。最小限の力で食べ物を飲み込みやすい形にできることから、歯や歯茎、顎の関節への負担が減ります。同時に、消化も促進されるので胃腸への負担も大幅に減少します。