症状に合わせた治療

出っ歯の矯正治療

出っ歯とは

出っ歯とは

出っ歯とは、上の前歯が前方に傾斜、あるいは上の顎が前方に出ている状態です。専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれ、その特徴的な顔貌から「口ゴボ」と表現されることもあります。日本人に比較的多い歯並び・咬み合わせの異常です。

出っ歯からくる症状

出っ歯では、以下に挙げるような症状が認められます。

口が閉じにくい

口が閉じにくい

上の歯が前方に突出していると、口が閉じにくく、歯が乾きやすくなります。その結果、細菌の活動が活発になり、虫歯・歯周病のリスクが上昇します。口が閉じにくいと、口呼吸になりやすいというデメリットもあります。

前歯で噛めない

前歯で噛めない・噛みにくい

重症度の高い出っ歯では、前歯で食べ物を噛めません。軽度から中等度の出っ歯であっても、噛みにくさを感じることでしょう。その分、奥歯への負担が大きくなり、そしゃく機能の主体となる大臼歯の寿命が短くなります。

発音

発音しにくい

出っ歯の状態によっては、発音障害が現れることがあります。特定の言葉を発音しにくくなり、滑舌が悪くなります。

あごにシワ

口を閉じると下あごにシワができる

出っ歯では、口を閉じると上唇が盛り上がります。それは横から見ると顕著です。また、口を閉じた際、下あごにシワができるのも出っ歯の主な症状のひとつです。

椎名先生イラスト

出っ歯の原因

出っ歯の原因は、歯の傾きや位置の異常に由来する「歯槽性」と
顎の大きさやバランスの異常に由来する「骨格性」の2つに大きく分けることができます。

歯の傾きや位置の異常(=歯槽性)

上の顎の骨が大きすぎたり、下の顎の骨が小さすぎたりすると、出っ歯の症状が現れます。遺伝による影響が大きいケースでは、“遺伝性”の上顎前突と表現されることがあり、ご家族にも同様の症状が認められます。

上下の顎のバランスの異常(=骨格性)

上の顎の骨が大きすぎたり、下の顎の骨が小さすぎたりすると、出っ歯の症状が現れます。遺伝による影響が大きいケースでは、“遺伝性”の上顎前突と表現されることがあり、ご家族にも同様の症状が認められます。

出っ歯を誘発する口腔習癖

出っ歯は、「指しゃぶり」や舌を前方に突き出す「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」、下唇を上下の前歯で挟む「咬唇癖(こうしんへき)」、口呼吸などによって誘発されます。いずれも上の前歯を前方に傾斜させる力が働く口腔習癖です。こうした癖が幼児期に見られる場合は、早期にご相談ください。早めの対処が必要となることもあります。

オススメの矯正治療

出っ歯は、歯列矯正で治療するのが一般的です。小児の場合は治療が可能なケースがほとんどですが、成人の場合は抜歯が必要となることもあります。出っ歯の矯正で使用するのはマルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置で、1年以上の治療期間を要します。

前歯だけの部分矯正を行った場合は、より短い期間で治療を完了させることも可能です。骨格的な異常に由来する出っ歯は、発育期に矯正を受けるのが良いでしょう。

上の顎が大きすぎる場合はその発育を抑え、下の顎が小さい場合は発育を促します。そうすることで、出っ歯となっている根本的な原因を取り除けます。

矯正相談

出っ歯は自力で治る?

治療

出っ歯は、習癖や習慣によって誘発されやすい歯並びなので、それとは逆の力を加えれば、自力で治せそうなものです。実際、そうした試みをされる方もいらっしゃいますが、オススメすることはできません。なぜなら、出っ歯は自力で治すことができないからです。

歯列矯正で歯を移動させる際には、厳密にコントロールされた「矯正力」を働かせています。それは歯科医師の中でも矯正に精通した人間でなければ行えないことです。正しい知識と技術を持たない人が自力で出っ歯を治そうとすると、症状が悪化したり、場合によっては歯や歯茎に致命的なダメージを与えたりすることがあるためご注意ください。

子供イラスト

出っ歯が治ると

矯正治療によって出っ歯が治ると、次に挙げるようなメリットが得られます。

前歯で噛めて奥歯の負担が減る

矯正治療で前歯の傾斜や位置が正常化されると、前歯で食べ物を噛みやすくなります。前歯によって食べ物が細分化されることから、奥歯の負担が減ります。歯列全体でそしゃく機能を担えるようになり、お口の健康維持・増進にも寄与します。

口呼吸の改善、虫歯・歯周病リスクの低減が見込める

出っ歯が治ると、口を閉じやすくなります。口呼吸も自ずと改善されることでしょう。さらには、口腔乾燥も防ぐことができ、虫歯・歯周病のリスクが低くなるだけでなく、口臭も現れにくくなります。

発音しやすくなる

出っ歯で発音障害が現れているケースでは、矯正によって発音しやすくなります。滑舌が良くなり、人と会話することが楽しくなるでしょう。

顔立ちが良くなる

出っ歯の人は、横顔に特徴が現れやすいです。とくに「Eライン(=エステティックライン)」と呼ばれる、鼻先と下あごの最も突き出た部分(オトガイ部)を結んだ線に顕著な悪影響が認められますが、矯正によって出っ歯が治るとEラインも改善されます。矯正治療の仕上がりによっては、理想的なEラインを形成することも可能です。