フッ素塗布の効果とは?子供・大人別のメリットとタイミング

フッ素塗布は、歯医者で受けられるむし歯予防処置の代名詞です。フッ素塗布によるむし歯予防効果は、科学的に証明されており、WHOでも使用が推奨されています。そんなフッ素塗布による効果やメリット、施術のタイミングなどは、子供と大人で少しずつ異なります。
フッ素塗布による効果の持続期間や施術を受ける間隔なども気になる方が多いことでしょう。このコラムではフッ素塗布の効果について、東船橋駅1分のスマイルデンタルクリニックがわかりやすく解説をします。
フッ素塗布とは?
まずは「フッ素塗布とは?」という素朴な疑問にお答えします。フッ素塗布は、高濃度のフッ化物が配合されたジェルを歯の表面に塗る処置で、定期検診や小児歯科での診療でよく行われます。フッ素塗布のジェルがどれくらい高濃度かは、市販の歯磨き粉に含まれるフッ化物の濃度と比較することで明らかになります。
現状、日本では市販の歯磨き粉に配合できるフッ化物を「1,500ppm」までと制限していますが、歯科医師や歯科衛生士といった専門家が直接、施術するフッ素塗布は「9,000ppm」のフッ化物配合の薬剤を使用できます。つまり、歯医者のフッ素ジェルは、市販の歯磨き粉の6倍くらい濃度が高い薬剤を使って、歯を強くできるのです。
フッ素塗布に期待できる3つの効果
歯医者のフッ素塗布には、次に挙げる3つの効果が期待できます。
歯の再石灰化の促進
私たちの歯は、酸性に刺激に晒されるとリン酸やカルシウムが溶け出します。これを「脱灰(だっかい)」と呼び、酸への抵抗力が低下することを意味します。フッ素塗布には、溶け出したリン酸やカルシウムを歯に戻す「再石灰化」を促進する効果が期待できます。
歯質を強くする
歯の再石灰化が起こる際にフッ素が混ざると、歯の表面が「フルオロアパタイト」という特別な構造に作り変えられます。フルオロアパタイトは、歯のもともとの構造であるハイドロキシアパタイトよりも酸への抵抗力が高いため、フッ素塗布には歯質を強くする効果が期待できるといえます。
虫歯菌の活動を抑える
フッ素には、抗菌作用が期待できます。虫歯菌の活動を抑え、歯を溶かす酸の産生量を低下させます。これもフッ素塗布による虫歯予防効果のひとつとして挙げられます。
子供と大人、それぞれの効果とベストなタイミング
子供のフッ素塗布について
子供の歯は、その他の器官と同様、未成熟なのをご存知ですか?具体的には、エナメル質の石灰化度が低く、大人の歯よりも軟らかいです。そのため虫歯菌が作る酸によって溶かされやすいことから、フッ素塗布で歯を強くする必要性が大人よりも子供の方が高くなっています。子供の歯に定期的なフッ素塗布を行えば、歯の石灰化が進み、虫歯菌に負けない強い歯を作れるようになるでしょう。
前歯が生えそろう頃がベストなタイミング
子供の前歯は、前歯が生えそろう1歳半くらいのタイミングでフッ素塗布を始めるのがベストです。この頃になるといろいろな食品を口にするようになりますし、口腔ケアの重要性も増してきます。そこに歯医者のフッ素塗布を組み入れることで、虫歯予防効果を最大限まで高めていきたいものです。
子供のフッ素塗布の継続期間は?
子供の歯である乳歯は、3歳前後で生えそろいますが、5~6歳になるといよいよ永久歯への生え変わりの時期へと移行します。とりわけ6歳臼歯は噛む部分の溝が深く、生えたての頃はエナメル質も未成熟であることから、フッ素塗布による虫歯予防効果をしっかりと発揮させる必要があります。そして、永久歯列が完成する12歳くらいまでの期間も比較的虫歯になりやすいので、子供のフッ素塗布は定期的に続けていくようにしてください。ちなみに、子供のフッ素塗布は3~6ヵ月に1回くらいの間隔で施術を受けると良いです。
大人のフッ素塗布について
大人の歯は、歯並び・噛み合わせが安定し、エナメル質も成熟しているため、子供の歯よりは虫歯菌への抵抗力が高くなっています。それでもやはり普段の歯磨きだけで虫歯予防を徹底することは難しいので、大人になってからも歯医者のフッ素塗布の効果は利用していきたいものです。
大人のフッ素塗布の期間や頻度
大人のフッ素塗布は、特定の期間だけ行うのではなく、生涯にわたって継続するのが望ましいです。基本的には3~6ヵ月に1回くらいの頻度で、歯医者のフッ素塗布を受けましょう。フッ素塗布は、コンスタントに続けることでその効果も高まります。
フッ素塗布の安全性と副作用について
早ければ1歳くらいから始めるフッ素塗布。ニュースなどではフッ素による健康障害が報じられることもあり、フッ素塗布の副作用や安全性に不安を感じている方もいらっしゃることでしょう。
フッ素塗布は安全性が保証されている
歯医者のフッ素塗布は、小さなお子さんに対しても安全性が保証された歯科処置です。そのため歯医者のフッ素塗布で、人体に悪い効果が生じることはまずありません。そもそもフッ素塗布は、歯科医師や歯科衛生士といった専門家が行う歯科処置であり、小さなお子さんに対しても安全を第一に考慮した上で施術します。万が一、フッ素塗布のジェルをお子さんが飲み込んでしまったとしても、健康を害することはないでしょう。そこで気になるのが報道で耳にすることがあるフッ素の副作用です。
フッ素による副作用とは?
急性中毒
フッ素による副作用として第一に挙げられるのは「急性中毒」です。フッ素が入った薬品などを一度にたくさん飲み込むことで発生する副作用ですが、歯医者のフッ素塗布で起凝るリスクは限りなくゼロに近いです。なぜなら歯医者のフッ素塗布では、急性中毒を引き起こすほど大量のフッ素を取り扱うことはないからです。また、歯医者のフッ素塗布は、フッ素ジェルを摂取するのではなく、歯の表面に塗るだけなので、2重の意味でフッ素による急性中毒は起こりにくいといえます。
歯のフッ素症
フッ素による副作用でもうひとつ有名なのが「歯のフッ素症」です。歯のフッ素症とは、エナメル質の表面に白濁が褐色斑、陥凹などをもたらす病気で、歯の発育異常に分類されます。この病気は、生後6ヵ月から5歳くらいまでにフッ化物を過剰摂取することで発症する病気で、主に高濃度のフッ素を含む飲料水・水道水の長期間にわたる飲用が原因となります。つまり、歯の表面にフッ素ジェルを塗るだけの処置を定期的に受けるだけでは、発症することはありえないのです。
まとめ
今回は、歯医者のフッ素塗布の効果と子供・大人別のメリットやタイミングについて解説しました。歯医者のフッ素塗布は、歯の再石灰化を促す、歯質を強くする、虫歯菌の活動を抑えるといった効果が期待できるため、すべての方におすすめできる虫歯予防処置です。子供は前歯が生えそろう1歳半くらいから始めるのがベストなタイミングで、少なくとも永久歯が生えそろうまでの期間はしっかりと継続していきたいものです。それ以降も歯医者のフッ素塗布を定期的に受けていれば、引き続き虫歯を効率良く予防しやすくなるでしょう。

院長 椎名 康雅

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