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乳歯の後ろから永久歯が生えてきた!放置して大丈夫?

子供の口の中を見たとき、乳歯の後ろから永久歯が生えていると驚く保護者の方は少なくありません。とくに下の前歯では比較的よく見られる生え替わりの一つです。ただし、乳歯の揺れ方や永久歯の位置によっては歯医者での確認が必要です。今回は、自然に経過を見られるケースと受診の目安を解説します。


乳歯の後ろから永久歯が生えてくるのはなぜ?

乳歯から永久歯への生え替わりは、永久歯の成長に伴って乳歯の根が少しずつ吸収されることで進みます。乳歯の根が短くなると歯がぐらつき、やがて抜け、その下から永久歯が生えてくるのが一般的な流れです。

ところが、永久歯が乳歯の真下ではなく、やや内側や後方から生えてくることがあります。その場合、乳歯の根の吸収が十分に進まず、乳歯が残ったまま永久歯が顔を出すことがあります。これが「乳歯の後ろから永久歯が生えてきた」状態です。

とくに下の前歯では、永久歯が舌側、つまり乳歯よりも内側から生えてくることが珍しくありません。見た目には歯が二列になったように見えるため、不安になるかもしれませんが、すぐに異常と判断されるものではありません。

また、顎の成長がまだ十分でなく、永久歯が並ぶためのスペースが狭い場合にも、乳歯の後方から生えてくることがあります。永久歯の前歯は乳歯の前歯より幅が広いため、歯の大きさと顎の幅のバランスも生える位置に影響します。

乳歯の後ろから永久歯が生えてくる

生え替わりの時期には個人差がある

前歯の生え替わりは一般に学童期の早い時期から始まりますが、開始時期には個人差があります。左右で同時に進むとは限らず、片側だけ先に永久歯が見えることもあります。周囲の子供と比べて時期が多少前後していても、それだけで異常とはいえません。ただし、左右差が長く続く場合や、反対側の永久歯がなかなか確認できない場合には、歯の位置や有無を調べることがあります。

乳歯が抜けていなくても永久歯は自然に前へ移動する?

乳歯が抜けると前方へ移動することがある

下の前歯では、乳歯の後ろから永久歯が生えていても、乳歯が抜けたあとに舌の力などを受けながら少しずつ前方へ移動することがあります。そのため、永久歯が内側に生えているだけで、ただちに矯正治療が必要になるとは限りません。

ただし、どの程度前へ移動するかには個人差があります。顎に十分なスペースがある子供では自然に歯列へ近づきやすい一方、永久歯が並ぶスペースが不足している場合は、乳歯が抜けても内側に残ることがあります。

乳歯が抜けそうにない場合は要注意

永久歯が見えているのに乳歯がほとんど揺れていない場合は、自然に抜けるまで時間がかかる可能性があります。乳歯が長く残ると、永久歯が本来の位置へ移動するためのスペースを妨げることもあります。

一方、乳歯がかなり揺れていて、食事や歯磨きの刺激で抜けそうな状態であれば、しばらく経過を見ることもあります。大切なのは「永久歯が後ろから出ているか」だけではなく、乳歯の揺れ方、永久歯の生える方向、歯列のスペースを合わせて確認することです。

「押せば前に戻る」と考えない

内側に生えた永久歯を見ると、指や舌で前に押せば早く整うのではないかと思うかもしれません。しかし、家庭で強い力をかける必要はありません。歯が移動するかどうかは空いているスペースや噛み合わせなどにも左右されます。処置が必要かどうかは歯科医院で判断するため、無理に位置を変えようとせず清潔を保ちながら経過をみましょう。

前歯以外では判断が異なることもある

前歯では比較的よく見られる生え方ですが、奥歯や犬歯の周囲で永久歯が予定と異なる位置から生えている場合は、別の問題が隠れていることもあります。永久歯の向きや位置を確認するためにレントゲン検査が必要になる場合もあるため、気になるときは歯科医院で確認を受けましょう。

乳歯の後ろから永久歯が生えてきたときに歯医者へ行く目安

歯医者

永久歯が見えたら一度確認すると安心

乳歯の後ろから永久歯が見えたからといって、すべてのケースで急いで抜歯する必要はありません。ただし、生え替わりが適切に進んでいるかを確認するため、一度歯科医院で診てもらうと安心です。

とくに、永久歯がはっきり生えているのに乳歯がまったく揺れていない、永久歯が大きく内側へずれている、隣の歯と重なって生えているといった場合は、早めの受診をおすすめします。

痛みや腫れがある場合

歯茎の腫れや強い痛み、出血が続く場合は、単なる生え替わりだけでなく、炎症や虫歯などが関係している可能性があります。食事がしにくい、歯磨きのたびに強く痛がるといった症状がある場合も受診の目安です。

また、揺れている乳歯が傾いて歯茎に当たると、違和感や痛みが出ることがあります。無理に家庭で抜こうとせず、歯科医師に状態を確認してもらいましょう。

噛み合わせに影響している場合

永久歯が大きく内側に生えたことで、上下の歯が正しく噛み合わない場合も注意が必要です。前歯の噛み合わせが逆になっている、口を閉じたときに特定の歯だけが強く当たるなどの状態があれば、自然に改善するかどうかを早めに確認した方がよいでしょう。

乳歯を抜歯した方がよいケースと経過観察できるケース

抜歯した方がよいケース

抜歯を検討することがあるケース

永久歯がある程度生えているにもかかわらず乳歯がほとんど揺れていない場合は、乳歯を抜歯することがあります。乳歯を残すことで永久歯の移動を妨げていると考えられるケースでは、抜歯によって永久歯が本来の位置へ移動しやすい環境を作ります。

また、乳歯の根が十分に吸収されず残っている場合や、乳歯に大きな虫歯がある場合、永久歯との間に汚れがたまりやすくなっている場合にも抜歯を検討することがあります。

永久歯の生える方向が大きくずれているケースでは、乳歯を抜くだけでは整わないこともあります。その場合は、今後の顎の成長や歯並びを確認しながら、必要に応じて矯正治療について検討します。

経過観察できることがあるケース

乳歯が十分に揺れていて、まもなく自然に抜けると考えられる場合は、すぐに抜歯せず様子を見ることがあります。下の前歯では、乳歯が抜けたあとに永久歯が自然に前方へ移動し、歯列に近づくケースも少なくありません。

また、顎に永久歯が並ぶためのスペースがあり、永久歯の向きにも大きな問題がない場合は、経過観察になることがあります。その際は、乳歯が抜けたあとも永久歯の位置が変化しているかを定期的に確認します。

家庭では、乳歯と永久歯が重なっている部分の歯磨きに注意してください。歯が二列になっている場所は食べかすや歯垢がたまりやすく、虫歯や歯茎の炎症につながりやすくなります。仕上げ磨きを行い、歯ブラシを永久歯の内側まで届かせることが大切です。

永久歯が生え始めた時期には、まだ歯の表面が十分に成熟しておらず、虫歯予防の面でも丁寧なケアが必要です。特に乳歯の後ろに隠れるように生えていると、保護者の方が仕上げ磨きをする際にも、歯ブラシが届きにくくなります。

乳歯から永久歯への生え替わりは、永久歯の成長に伴って乳歯の根が少しずつ吸収されることで進みます。乳歯の根が短くなると歯がぐらつき、やがて抜け落ちて永久歯が生えてきます。受診時には生え替わりだけでなく、磨き方やフッ素の利用について相談することもできます。

乳歯の後ろから永久歯が生えてくること自体は、子供の生え替わり期に見られることがあります。しかし、抜歯が必要かどうかは口の中を診なければ判断できません。家庭で無理に乳歯を引っ張るのではなく、永久歯の位置や乳歯の状態を歯科医院で確認したうえで対応しましょう。

まとめ

乳歯の後ろから永久歯が生えることは、特に下の前歯では珍しくありません。乳歯が自然に抜けたあと、永久歯が前方へ移動することもあります。一方、乳歯が揺れない、痛みや腫れがある、永久歯が大きくずれている場合は歯医者での確認が必要です。抜歯の要否は自己判断せず、歯並びや噛み合わせまで含めて診てもらいましょう。

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院長 椎名 康雅

東京歯科大学で矯正治療認定医資格を取得し。同大学病院に勤務 平成15年にスマイルデンタルクリニックを開業 平成24年、スマイルデンタルクリニック矯正歯科/スマイルデンタルクリニック小児歯科を開業。 歯科医師のための勉強会「椎名塾」主宰。

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