6歳臼歯が生えない…これって大丈夫?考えられる原因と対応

お子様の歯の成長は、保護者の方にとって大きな関心事です。特に「6歳臼歯」は、永久歯の中でも早く生えてくる大切な歯ですが、「うちの子、6歳臼歯が生えないけど大丈夫?」と不安になる方も少なくありません。6歳臼歯は、噛み合わせの土台となる歯であり、将来的な虫歯や歯並びの問題とも関係してきます。
本コラムでは、6歳臼歯が生える時期や、生えない・遅れているときに考えられる原因、そして歯科医院に相談すべきタイミングについて東船橋駅1分の歯医者スマイルデンタルクリニックが詳しく解説します。お子様の口の健康を守る参考にしていただければ幸いです。
6歳臼歯とは?いつごろ生えるのが一般的?
「6歳臼歯」とは、正式には「第一大臼歯」と呼ばれる永久歯です。乳歯が抜けてから生える他の永久歯と違い、乳歯の奥に新しく生えてくるのが特徴で、生え始める時期はその名の通り、6歳前後が目安とされています。早いお子様では5歳ごろ、遅い場合は9歳ごろになることもあります。
6歳臼歯は上下左右に1本ずつ、計4本あり、乳歯とは異なる位置から萌出するため、気づきにくいこともあります。しかし、この歯は非常に重要で、噛み合わせの中心となる「かみ合わせの鍵」とも呼ばれます。また、噛む力が強いため、しっかり噛むことで顎の発育にも良い影響を与えると言われています。そのため、「6歳臼歯が生えない」「遅れている」と気づいたら、放置せず原因を確認することが大切です。
6歳臼歯が生えない・遅れている場合に考えられる5つの原因
6歳臼歯が適切な時期に生えてこない、あるいは生えるのが遅れている場合は、以下の5つの原因が考えられます。
①先天性欠如(歯の数がもともと少ない)
先天性欠如とは、歯胚(歯の芽)が形成されないことで、永久歯が生まれつき存在しない状態を指します。日本人における永久歯の先天性欠如は、約5〜10%の頻度で認められ、特に下顎第二小臼歯や上顎側切歯で多く見られます。6歳臼歯(第一大臼歯)は比較的発生頻度が低く、先天性欠如が起こることは稀ですが、ゼロではありません。
この場合、歯が生える気配が全くなく、歯茎にも異常が見られないことが多いため、視診のみでは判断が難しいこともあります。確定診断にはパノラマX線写真などの画像検査が不可欠です。永久歯の数や萌出方向を把握し、必要に応じて長期的な観察や矯正治療の検討が求められます。
②乳歯が残っている(晩期残存)
乳歯は通常、後継の永久歯が萌出してくることで自然に抜けますが、まれに脱落せずに残る「晩期残存」が見られます。6歳臼歯は乳歯の後ろ(遠心側)から生えてくるため、直接的に乳歯が邪魔になることは少ないように思われがちですが、実際には第二乳臼歯が大きく後方に傾いていたり、歯列全体のスペースが不足していると、6歳臼歯の萌出スペースを確保できず、生える方向が逸れたり、萌出が遅れたりする原因になります。
このような場合は、口腔内診査だけでなく、X線画像による歯胚の位置確認が重要です。必要に応じて、乳歯の抜歯や萌出誘導などの処置を行うことがあります。
③外傷や感染症による影響
幼少期に受けた口腔内の外傷や感染症は、6歳臼歯を含む永久歯の正常な萌出に影響を及ぼすことがあります。特に4〜5歳頃までに受けた顎への打撲や、乳歯の打撲・脱臼・早期脱落などは、その後方に位置する6歳臼歯の歯胚(しはい:歯の芽)に物理的なダメージを与える可能性があります。
また、乳歯の根の先に膿がたまる「根尖性歯周炎」や、歯周組織への細菌感染が進行した状態では、歯の周囲の骨や歯胚に炎症が波及することがあります。これにより、6歳臼歯の形成が遅れたり、正常な方向に生えてこられなくなったりすることがあります。
④発育が遅れている
永久歯の萌出には全身の発育状態が密接に関わっています。6歳臼歯の萌出時期にも個人差があり、身長・体重の増加が緩やかな子供では、歯の発育もやや遅れる傾向があります。これは「歯の発育年齢」とも呼ばれ、実年齢とは異なることがあります。
一般的に、6歳臼歯は6〜7歳で萌出することが多いですが、健康状態に問題がなく、他の発育指標が年齢相応であれば、しばらく様子を見ることが可能です。しかし、いつまで経っても6歳臼歯が生えてくる兆しが見られなかったり、永久歯全体の発育が遅れていたりする場合は、内分泌異常(成長ホルモンの分泌不足など)や遺伝的要因が関係していることもあるため、必要に応じて小児科との連携が検討されます。
⑤異所萌出(正しい位置から生えてこない)
「異所萌出」とは、歯が本来とは異なる位置・方向から萌出する状態で、6歳臼歯の場合には斜めや横向きに歯茎内で埋まっていたり、隣接する歯に接触しながら萌出してきたりすることがあります。原因としては、骨の成長パターン、歯胚の位置異常、萌出スペースの不足などが考えられます。
異所萌出は、歯列不正や隣接歯への影響を引き起こすだけでなく、歯茎の痛み、違和感、さらには萌出性嚢胞(萌出障害に伴う嚢胞)を形成することもあります。早期にレントゲン検査を行い、異常な位置であれば必要に応じて矯正的介入を行い、正しい位置への誘導を図ります。
どんなときに歯医者に相談すべき?
6歳臼歯の萌出には個人差があるとはいえ、次のような場合には歯科医院への相談をおすすめします。
- 7歳を過ぎても一部またはすべての6歳臼歯が見えてこない
- 歯茎が腫れている、違和感がある
- 噛み合わせに著しい偏りがある
- 永久歯の数が少ない気がする
- 乳歯の生え変わりの順序や時期が極端にずれている
歯科医院では、レントゲン撮影により歯の位置や本数を確認できます。必要に応じて、経過観察や矯正的なアプローチを含む治療方針を立てることが可能です。
まとめ
今回は、6歳臼歯が生えない原因や歯医者を受診すべきタイミングについて解説しました。6歳臼歯は、永久歯の中でも重要な役割を担う歯です。生えない・遅れていると感じたときは、焦らず冷静に原因を探ることが大切です。先天性欠如や発育の個人差、異所萌出など、様々な理由が考えられますが、多くの場合は歯科医院での適切な診断と対応により問題を回避できます。お子様の噛み合わせや歯並び、そして健やかな成長のためにも、「6歳臼歯が生えない」と感じたら、早めに歯科医師にご相談ください。

院長 椎名 康雅

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